合成の高分子凝集剤は、イオン性によりアニオン性高分子凝集剤、ノニオン性高分子凝集剤、カチオン性高分子凝集剤、両性高分子凝集剤に大別されます。
アニオン性およびノニオン性高分子凝集剤は、主として産業廃水の凝集沈殿による懸濁物除去に使用されています。
@アニオン性高分子凝集剤
分子量が通常1千万〜2千万で分子量が大きいので少ない使用量でも優れた凝集効果を発揮しますが、pHにより効果の変化が大きいため、効果を発揮する中性〜アルカリ性の産業廃水に使われています。
廃水中の懸濁物は通常マイナスの荷電を帯びているため、プラスの荷電を持つ無機凝集剤を添加して懸濁物の荷電を中和した後、アニオン性高分子凝集剤で処理する場合が多くみうけられます。
また、アニオン性高分子凝集剤は、アニオン性の程度の異なるものが各種市販されており、廃水に合わせて使い分けられています。
Aノニオン性高分子凝集剤
分子量が通常数百万〜千数百万でアニオン性高分子凝集剤には分子量で劣りますが、酸性でも効果が落ちないため酸性〜中性の産業廃水の浄化に使われています。
Bカチオン性および両性高分子凝集剤
主に都市下水や有機物を多く含む工場廃水の処理で発生する汚泥(濃厚な懸濁液)の脱水促進に使用されています。カチオン性高分子凝集剤は、通常分子量数百万〜千数百万で、マイナスに帯電している汚泥中の懸濁物の荷電中和に有効で水抜けの良い凝集物を作るため、カチオン性高分子凝集剤を使用すると汚泥の脱水が効率良く行えます。また、カチオン性高分子凝集剤は、カチオン性の程度の違うものが各種市販されており、汚泥に合わせて使い分けられています。
C両性高分子凝集剤
通常分子量数百万〜千数百万で、分子内にプラスとマイナスの荷電を併せ持っています。近年、汚泥中の有機物含量の増加、汚泥の腐敗等でカチオン性高分子凝集剤では十分な汚泥脱水効果が得られない汚泥がありますが、このような汚泥の脱水に無機凝集剤と両性高分子凝集剤の併用が効果を上げています。