高分子凝集剤は、水中に懸濁している固体状の微細な懸濁粒子に吸着・架橋してフロックと呼ばれる集合体にする機能(凝集機能)を持つ薬剤で、化学構造的には分子内に多数の極性基を含有する非常に大きな分子量の水溶性高分子です。
なお、無機凝集剤を懸濁液に加えたときの様に、懸濁物質の荷電中和による小さなフロックは形成するがフロックの粗大化を伴わない場合を凝結と呼び、高分子凝集剤を使用したときのようにフロックが粗大化する場合を凝集と呼びます。
日本の高分子凝集剤メーカーで構成される高分子凝集剤環境協会(略称 OEC)は、現段階におけるGHS(The Globally Harmonized System of Classifcation and Labeling of Chemicals)対応における高分子凝集剤の水生環境有害性の分類について、EUの高分子凝集剤メーカーで構成されるPPG(Polyelectrolyte Producers Group)との専門家による討議の結果、以下の統一見解を得ました。 (2009年12月15日現在)
製品分類 | 急性水生毒性 | 慢性水生毒性 |
エステル系高分子カチオン凝集剤 | 区分2 | 区分外 |
<水生環境有害性の判定理由>
・エステル系のカチオン性凝集剤は、80モル%のカチオン性アクリレート−アクルルアミドコポリマーのデータを代表データとしてGHS分類を行う。
・80モル%エステル系アクリレート−アクリルアミドの急性水生毒性は1mg/Lである。
・上記物質は、OECDガイドラインに従った試験水中において、28日間で70%以上が非生物的に無害な物質に分解する。
以上の結果より、現段階において上記表の通りの統一見解を得ました。
現在、更に詳細な調査を実施しており、調査結果を随時掲示していく予定です。